2010年ヤマナシ ヘムスロイド ディプロマ展

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2010年度デンマーク刺繍ディプロマ展 インタビュー

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2010年度デンマーク刺繍ディプロマ展
2月16日(火)~2月27日(土)/3月2日(火)~13日(土)10:30~18:30 

ディプロマ修得に向けて励んでこられた4人の皆さんのインタビューです。

2010年 Diplama インタビュー

末光牧子(すえみつまきこ)さん

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Q デンマークの刺繍とであったきっかけは?

末光 13年前くらいです。主人の転勤で大坂に引っ越したとき、会社を辞めて時間もありましたし、大阪には友人もいませんでしたので、前からやってみたかったクロスステッチをはじめました。小学校のときに、母から文化刺繍を習っていましたので、抵抗はありませんでした。はじめる前にキットもずいぶん探しましたが、あまりよいものがなく、はじめて「これだ!」と思ったのが、ヤマナシ ヘムスロイドの本でした。さっそく裏表紙に掲載されていた番号へ電話し、布と糸を取り寄せました。

009.JPGそのころちょうど、神戸でヤマナシ ヘムスロイドの展示会があり、先生に作品を見ていただきたくて、3回も会場に通いました。残念ながら、山梨先生にはお会いできなかったのですが、会場にいた方(たぶん岩藤先生)に「基本をマスターしたほうがよい。」と、クロスステッチの通信講座をご紹介いただき、即座に申し込みました。
大阪では通信講座で学ぶだけでしたが、大坂にいるときから、「東京に戻ったら、まず山梨先生のお教室に申し込む」ということを夢見ており、主人の転勤で東京に戻ることになったときは、仕事を探すよりまえに、お教室に申し込みをしました(笑)。

その後山梨先生のクラスでたくさんのステッチ技法を教えていただき、テネリフなど新しいこともたくさん学びました。クラスに通いながら、キャンバスワークの通信講座、ホワイトワークの通信講座も受けました。

Q お仕事をされながらの修得で、大変だったことを教えてください。

末光 今も仕事がわりと忙しく、帰宅が23時過ぎになることが多いです。刺繍は平日の24時ごろから2時ぐらいまで、もしくは、土日に集中して刺しています。繁忙期は土日出勤のこともあり、そのときは刺繍ができなくなるので、とてもストレスがたまります。年中、睡眠不足ですね。すでにこの生活が長いので、逆に4時間以上は寝れなくなってしまいました。

Q 反対に良かったことを教えてください。

末光 よいことはたくさんあります。クラスでよい仲間に会えたこと。先生方はじめ、皆さんのすばらしい作品を間近で見れること。皆さんのがんばりによい影響を受けること、刺繍がストレスを解消してくれること。母との会話が広がったことも。母は、私が小さいころから、編み物や籐工芸、文化刺繍、パッチワークといろいろと教えてくれていましたので喜んでくれています。

020.JPGQ この刺繍の好きなところはどういうところですか?

末光 仕事と違って、刺繍は自分自身ががんばらないと完成しないところです。仕事は代わりの人がいますが、作品はだれも作ってくれませんので、最後まで自分の力や踏ん張りを信じるしかないです。踏ん張りきって作品を完成したときはうれしくて、いつも自分で自分にご褒美をあげちゃいます。

Q ディプロマを目指そうと思ったのはどういった理由からでしょうか

末光 先生方の作品を見るたびに、「私もこんな素敵な作品を作りたい!」と思っていて、もっともっとたくさんの作品にトライしたいと思ったからです。忙しい生活をしていると、なにか目標を持って挑戦していかなければ、何も出来ないままになってしまいますので。
また、ディプロマを取得することは、最終目標でなく、出発点。これを機にさらに多くのノウハウを身につけていきたいと思います。

Q ディプロマに挑戦してみて、大変だったこと、悩んだことなどありましたら
教えてください

末光 なかなかアイディアが思いつかず、いかに自分が取得した技法できれいに仕上げるかが、とても難しかったです。山梨先生からいつも「いろんな作品を見たほうがよい」と言われていましたが、皆さんの作品を見ることで、仕上げの方法やコツを学ぶことが出来ることを再認識しました。最後の3日間は完全に徹夜でした。

11月の段階で「あと2ヶ月しかない。もう間に合わない」と弱音を山梨先生にお伝えしたところ、「まだ2ヶ月もあるじゃない。がんばって」と勇気付けられました。なぜか、山梨先生に「がんばって」と言われると、「出来る。大丈夫だ」といつも確信してしまいます。12月の締め切り間近(しかも年末に・・)、毎日のように先生にアドバイスいただき何とかぎりぎり仕上げることが出来ました。
先生は最後にいつも「がんばって」と言ってくださいました。あの「がんばって」がなければ、達成できなかったと思います。(先生、本当にありがとうございました)

Q 今回の展示作品で、最も思い入れのある作品を教えてください。

末光 ブルーレディですね。残念ながら、大きい作品のためにお家に飾ることが出来ません。前回の展示会(デンマークの女王さまがいらっしゃった2005年の東急の展示会)の終了後から、一度も箱から出すことがありませんでした。5年ぶりに多くの方々に見ていただいて、彼女の顔が喜んでいるように見えました。

034.JPGQ 2週間のディプロマ展はいかがでしたか?

末光 刺繍の好きな方にたくさんお越しいただきました。お話していると、刺繍の楽しさも苦労も分かち合えて、とても楽しい時間をすごさせて頂きました。皆さん、お仕事やご家庭をお持ちの方が多く、「刺繍する時間がない。もっと刺繍したい」とお話されており、そのうちのお一人の方が、「10分でも針を持たない日はない」とおっしゃっており、まさに脱帽でした。私も見習わなきゃと思いました。

Q 今後取り組んでみたいことなどありましたら教えてください。

末光 たくさんありますが、、やはり大物に挑戦したいですね。大物は、ある程度短期目標を決め、一気に作品を作りあげることが重要だと思っています。目標がないと、いつまでも完成できないような気がします。大きな作品は、とにかくひたすら同じ調子で刺し続けますので、仕上がりが均等でとてもきれいになります。・・・ただし家には飾れませんが(笑)。

ありがとうございました。

玉城啓子(たまきけいこ)さん

067.JPGQ 刺繍をはじめられて25年になられるとのことですが、ずっと沖縄在住でいらっしゃるのでしょうか?

玉城 はい、文化服装学園に通って洋裁を習っていたのですが、それ以降はずっと沖縄です。月に1回、草月にお花を学びに来ていて、そのときにあわせて六本木柿の木坂両方の山梨先生のお教室に通っていました。通信講座も受講して、お声がかかるたびに色いろな作品展にも出させていただいています。前回は2008年のお正月のウィリアム・モリス展のときに上京しました。

Q このグースバリーのベッドカバーは、本当に素晴らしいですね。いったいどれくらいかかったのでしょうか?

玉城 5年かかりました。母が体を壊して、看病をしながら母のために刺したものなんです。気候のせいか、時間がたつとしみができてしまうんです。だからこのベッドカバーを作るときは細心の注意をして、手袋をして刺していたんです(笑)。何年か前のデンマークの展覧会にも出展させていただきました。
この刺繍に出会うずっと前に、姉が見せてくれた手芸の本に、ゲルダ・ベングトソン先生のグースベリーの刺繍が載っていたのですね。一目ぼれをしてしまって。山梨先生のお教室に通う様になって、このデザインに再会したのですが、いつかきっとこのデザインで、大きな作品を作りたい、と心に決めていました。
母のためにずっと刺していましたが、結局間に合わなかったんです。それっきり悲しくてしまいこんでいたのですが、今回久しぶりに出してきました。姪の小学生になる男の子から「ボクのお嫁さんに頂戴ね!」と予約が入っています(笑)。

Q 周囲の織物も素敵ですね。

玉城 これはお友達に織っていただいたんです。みどりの部分はサトウキビ、ピンクの糸は月桃で染めた糸で織られています。

040.JPGQ 沖縄らしいですね!ブラウスに刺された刺繍も素敵です。なんだか紅型染を思わせる配置とデザインですね。

玉城 これはお野菜とベリーのサンプラーなんです。着るために作ったわけではなくて。襟のアイビーの部分だけDMCを使っていて、後は花糸で刺しています。ぜんぶゲルダ先生のデザインされたモチーフを使っています。小学校の先生をしている友人に「食育にいいから貸して」なんていわれたんですよ。お野菜にハーブにベリーに、食べられるものばかりですね。

Q 他にはどんな刺繍を?

玉城 今回は新しいく作ったものを中心に出させていただいていますが、1m以上あるゲルダ先生の大きな作品をたくさん刺してきました。

Q 展覧会ができますね!沖縄でお教室を?

玉城 そう考えています。お友達に教えてほしいといわれて、山梨先生にご相談したら、ディプロマに挑戦してみなさいといわれて。実は身内や周りからは「その年で」と、ずいぶん反対されたんですが(笑)。
あ、そうそう、山梨先生のお母様から言われていたことも大きかったですね。お電話などでお話しするたびに「玉城さん、沖縄にも刺繍を広めてね」っていつもお電話で言われていたので、ずっとそれが気になっていて。

ぜひこの刺繍の魅力を沖縄の方々にも伝えてください。

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降幡和子(ふりはたかずこ)さん

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Q クロスステッチとの出会いは?

降幡 出会いは早かったんです。短大の家政科にいたときにクロスステッチの宿題が出て、本屋さんで(デンマークのクロスステッチの)「花と鳥」と「四季の暮らしと窓辺の花」を見つけて衝動買いしてるんです。ただ、与えられた布にはこの本の図案が入らなくて、結局課題は別の図案を泣く泣く刺して提出しました。

Q ではその本がきっかけで、短大の頃から刺繍の道に?

降幡 いえ、それが、結構長い道のりで。洋裁は好きでした。でも刺繍は・・・。その頃手に入る刺繍糸はつやつや光っていて、あまり惹かれなかったんです。
学校を卒業して就職したころは、ボビンレースに興味を持って、洋書と一緒に山梨先生のボビンレースの本も買ってるんです。今はできないけど、「いいなあ、素敵だなあ、いつかしてみたいなあ」という憧れで。
その後、結婚して子供が生まれて会社を辞めたことで、期限のある何かに取り組みたくて、パッチワークの通信講座を受けました。ただ、新しい布を切り刻むのがどうかなという気持ちもあってあまり合ってなかったみたいです。

Q それからやっと、刺繍に?

降幡 はい。下の子が小学校に上がった秋からですね。新聞の折込に新宿の朝日カルチャーの広告が入っていて、そのなかに山梨先生の名前をみつけたんです。本で先生のお名前は知っていたので、「あの山梨先生のクラスがある!」と思って、迷わず申し込みました。

095.JPGQ 去年までその新宿の教室に通われて

降幡 はい。月2回13年間。新宿の教室は最初山住先生で、刺繍だけでなく、色いろ教わりました。ナーベルソム、ボビンレース、ハーダンガーにヘデボ・・・白糸刺繍にすっかりはまってしまって。

Q なるほど、それで今回の展示にも見事な白糸刺繍があしらわれているんですね。テントステッチで仕上げたり、白糸をほどこしたり、付け替えができたり、というさまざまな仕上げのアイデアはどんなところから?

094s.jpg降幡 今はパートで結婚前の会社に勤めているので、通勤時間があるんですが、その通勤時間にアイデアが浮かぶことが多いですね。いいアイデアが出てくるとすぐメモに書き留めておきます。
たとえば、ティコゼは内側がすぐ汚れるので、何度も洗いたいのですが、刺繍の部分はあまり洗いたくないですよね。で、刺繍部分を取り外せるように考えました。バッグやクッションもそうですね。
数えたり、計算したりして、図案を考えるのは結構好きなんです。でも、バラを反転させて4角に配置したテーブルセンターは、画像の反転に苦労しました。パソコンに画像を取り込んで反転させて・・・今はコピー機で簡単にできるんですよね(笑)。両端にスカラップ模様のボタンホールステッチで飾りを付けています。大きな作品になる前に、キットや、小さな作品でいろいろな試行錯誤をしていることが多いですね。

109s.jpgQ なるほど、デンマークに提出された船のクッションは、取替えができたり白糸刺繍がほどこされていたり、ある意味技術とアイデアの集大成なんですね。

降幡 そうですね。でもやはりデザインに関しては先生の一言がすごく参考になりました。船の周りは糸を抜いた状態だったのですが「まわりがなんだか寂しいわね」といわれて。そういう一言が、すごく勉強になります。結局、いろいろと考えて波の模様を白糸刺繍で入れました。入れ方については、これまで何度か別の図案で取り組んでいましたので、こうしよう、と思う感じで入ったと思います。

Q 船のモチーフに、波の模様、ぴったりですね。今後、挑戦したいことは?

降幡 変わった刺繍を見ると、どうしたらこれが作れるのかな、と考えるんです。これからも、色いろと変わった技法を覚えていきたいですね。

森裕美(もりひろみ)さん 

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Q 森さんがデンマーク刺繍をはじめられたきっかけは?

森 1993年ごろ、ハイミセスに掲載されていた作品を見たのがきっかけです。アネモネのリースだったと思いますが色合いがとても素敵で魅了されました。さっそく仙台の丸善に「デンマークのクロスステッチ」の本を1冊頼んだのですが、書店の方が気を利かせて全巻お取り寄せくださったんです(笑)。もちろん全部手に入れました。それから1年間は自己流で本を見ながら刺していました。

Q 通信講座でスタートされたのですね。

森 はい、仙台に住んでおりその頃は子供も小さく、お教室にも通えなかったので、一人でやるしかないと思っていました。1年ほどたって展覧会を見に東京に来たときに、クロスステッチの通信講座があるのを知り、すぐ受講することにしました。
通信講座で知らないことを一つひとつ学ぶのはとても楽しくかったです。課題を提出するときに作品を折りたたんでお送りしたら、山梨先生に「刺繍はたたまないのよ」と指摘されたんですね。そんなことも知らないところからのスタートでした。最後の課題のやり直しがありましたが、それも無事終えた頃、「ゲルダ・ベングトソン刺繍・人生」の展覧会の作品募集のお知らせが届きました。早速作品を仕上げて作品をお送りしました。東急に展示された自分の作品を見たときはとてもうれしかったです。その後は友の会のニュースレターで展示会のお知らせがあるたびに作品を出していました。

Q ご家族も応援してくださっているとか?

森 はい。2人の息子も夫も、この刺繍がとても好きみたいで、応援してくれています。船好きの夫の部屋にはイダさんのヨットの作品を刺して飾っています。

007.JPGQ 今回、ディプロマに挑戦して難しかったことは?

森 山梨先生から出された課題作品が「きのこ」だったのですが、きのこって草花と違って自分の中で「食べ物」という意識しかなかったので、素敵に構成する、というのがとても難しかったですね。特に私が担当したのが「しいたけ」だったので・・・(笑)。何度も試行錯誤してやり直しました。今、家にはたくさんのきのこの作品があります。最終的に、クロスステッチのきのこのまわりにハーダンガーをあしらい、テントステッチで小さなきのこを4つあしらいました。

Q テーブルセンターやカフェカーテンはゲルダさんのモチーフをアレンジして刺繍した上に、素敵な白糸刺繍がほどこされていますね。

013.jpg森 最初は、本に載っているデザインを布にうつしとるだけで満足だったのですが、こちらの教室に通うようになって、先生方の作品を見たり、展覧会で他の方々の作品を見ているうちに、仕上げ次第で世界に一つのオリジナル作品ができる、ということに気付きました。
先生のアドヴァイスはとても参考になりますし、はっとさせられることが多いんです。あと、ホワイトワークの通信講座のテキストは今でも非常に役に立っています。白糸刺繍を刺すときは、テキストを何度も何度も読み返しました。通信講座ではいろいろな刺繍技法を学びますが、それをどのように応用するかは作品を作る中でぶことが多いですね。

012.jpgQ 今後は講師として活動されることになると思いますが、どのような講師になりたいですか?

森 先生方がこれまで培ってこられた流れを大切に、雰囲気やまとめ方などを伝えていきたいと思います。

Q がんばってくださいね。

森 ありがとうございます。